現地コラム
COLUMN
ヤシガニについて!石垣島在住スタッフが徹底解説します!
みなさんこんにちは!
沖縄県の八重山諸島に属する離島、石垣島は大自然があふれる亜熱帯の島です。
そんな島で生きているヤシガニというという生物をご存じでしょうか?
テレビなどのメディアでもたまに取り上げられるので、写真や映像で見たことがある人も少なくないかもしれません。
カニやヤドカリに少し似ているけどどちらでもない、とても奇妙な形をした生き物です。
本記事では石垣島のヤシガニについて紹介いたします。
目次
石垣島のヤシガニとは
ヤシガニは甲殻類の十脚目(エビ目)ヤドカリ下目(異尾下目)オカヤドカリ科に属する生物です。熱帯~亜熱帯の地域に分布しています。
同じ分類の生物としてヤドカリやコシオリエビ、タラバガニがいます。中でもヤシガニは分類名の通りヤドカリと生物学的に近いです。
甲殻類の中で陸上生活に適応し、さらに進化の過程でヤドカリの代名詞でもある貝殻を脱ぎ捨ててしまったのがヤシガニ、となります。
陸上生活をする節足動物しては地球上最大ともいわれており、体長は3~40cmほどにもなり、脚も含むと1mを超える個体もいます。
体重が4㎏ほどにもなるとも言われています。陸上生活をしていますが、繁殖はかならず海にもどります。
体色は青や青紫、茶色で、岩場やジャングルの中に溶け込んでいます。
腹部の膨らんだ所に呼吸器官があり、湿気をためこんで、陸上でも呼吸できるようになっています。
なので湿気が多い南国(熱帯~亜熱帯)でないと生きていくことができません。
また、なんといっても大きいハサミが特徴的です。はさむ力も非常に強く、大きなサイズのヤシガニだとその力はライオンの噛む力と同等程度になります。
人の指程度であれば簡単に切断できます。もしヤシガニを見かけても、不用意に触ったりハサミに挟まれるところに指などを差し出さないようにしましょう。
またヤシガニは、11月下旬になると活動量が落ち、動きが鈍くなります。
次に活発になってくるのは4月初旬頃で、外気温が20℃より下がると冬眠するとされています。
なのでヤシガニを見るチャンスが多いのは春や夏といえるでしょう。
ヤシガニはもともとは繁殖力の強い生きものですが、人間による乱獲や捕食によって数がかなり減ってきています。
石垣島では見ることができますが、現在では絶滅危惧種にも指定されており、環境省のレッドリストでも絶滅危惧II類(VU)に指定されています。
生息場所:湿度の高い岩影や木
脚:片側5本(計10本)
体長:3〜40cm
体重:500g〜4kg
寿命:約50年
好物:アダン
活動時期:外気温20℃以上
(春から夏にかけて1番活発)
備考:絶滅危惧種
石垣島のヤシガニの生息場所
生息場所は、石垣島のマングローブ湿地帯や洞窟に姿を現します。
小さい頃は海水の周りに生息しており、成長すると陸上へ生息場を変化させていきます。
その中でもアダンと呼ばれる植物の生息地の近くに特に多く生息しています。アダンは足が多く密接して生えるのでヤシガニも安心して隠れることができます。
果実も熟れると甘いにおいを発し、ヤシガニの大好物でわざわざアダンの実を落として食べたり、木に登って食べたりもします。
アダンは熟れていないと非常に渋く、逆に熟れるとあっという間に大量の虫がたかるので、人間の食用にはあまり向いていません。
居酒屋などでおいしく調理したアダンを食べることができるので、アダンを食べたい人は提供している居酒屋に行きましょう。
ヤシガニはアダンの木の他には枯葉の下や岩場などに隠れて時間を過ごします。
湿度の高い梅雨期には、活動が活発で、昼間から行動が見られるときもあります。
石垣島のヤシガニの食べ物
ヤシガニは上記でも述べたとおりアダンを好物としていますが、基本的に雑食で植物も動物も両方食べることも知られています。口に入るなら腐敗した死肉も食べることもあります。
昔は死んだ人を風葬していたのですが、その人の肉を食べていたとも言われています。
死者の魂をあの世に送る存在として、崇め恐れられていたとも言われています。
石垣島のヤシガニはアダン・タコノキ・月桃・クロツグ・クワズイモの果実などは好物のようで食べているようです。
石垣島のヤシガニの注意点
石垣島のヤシガニは食べられるのか
ヤシガニは昔から石垣島では食されており、食べることができます。お店などや市場でも出回っていることもあります。
捕まえてからすぐ食べるか、冷凍保存しないと身が痩せてしまうといわれています。
主に食べる際には湯がいて食べる場合が多く、腕の部分が可食部になります。塩湯がきで身を食べるか、みそ汁などの汁料理に使われることが多いです。
ヤシガニは雑食性で何でも食べるので、ヤシガニは大丈夫でも人間には毒になるものを食べている可能性があるため毒素や有害物質が、ヤシガニの腸に蓄積し、腸を食べてしまうと必ず当たると言われています。
なので個人で捕獲して食すのは大変危険です。
石垣島のヤシガニの毒
ヤシガニ自身は毒を作りませんが、さまざまなものを食べるヤシガニは、食べたものによっては猛毒を持つことが知られています。
ヤシガニを食したことによる死亡例もあります。ハスノハギリという木の実がその原因になっているという説もありますが、詳細は不明とされています。
茹でて赤くならないヤシガニは毒があるから食べてはいけないという説もあります。
毒素や有害物質が、ヤシガニの腸に蓄積するので、毒を持つ個体が多いです。
ヤシガニを食べるときには、絶対に店で提供しているところに行き、個人で捕食するのはやめましょう。
石垣島のヤシガニのハサミの力
これまでに計測された最大の力は2キロ超の個体の1765Nです。最大級の個体ではその力は3000Nを超えるのではないかと言われています。これはライオンのかむ力に匹敵し、非常に挟む力が強いと言えます。
人の指も簡単に折ると言われています。見かけたら不用意にハサミに挟まれるところに指などを差し出さないようにしましょう。
ヤシガニに挟まれたらライターの火で焙れば離すという説もありますがこれは迷信です。試した方曰く、まったく効き目がなかったそうです。
ヤシガニのハサミの力はとても強く、挟まれれば一大事ですが、慌てず痛みを我慢してヤシガニの足を地につけて安心させてやれば、たいがい離すということです。
一番の対策はヤシガニには触れないことです。
石垣島のヤシガニの寿命
ヤシガニはかなり長寿であることが知られ、最近の研究では、雌雄ともに50年ほど生きるだろうということが分かっています。
ですが、カニなどの甲殻類の仲間には大きくなるにつれ成長はゆっくりになるものの、生きている限り脱皮を続け大きくなります。
ヤシガニは長寿命で成長が遅いため、一度個体数が減少すると元に戻るのに長い年月を要することが想定されています。
石垣島のヤシガニの産卵
ヤシガニは海岸に近いマングローブジャングルに生息しています。産卵の季節になるとヤシガニは抱卵し、交接します。
その後、海に下り、腹に抱えた卵を海水に浸けます。すると、その刺激で卵からヤシガニの幼生がふ化して海の中へ飛び出していきます。
しばらくプランクトンとして育った幼生は、はじめオカヤドカリそっくりな形になり、貝がらを背負って上陸してきます。
そしてしばらく成長するうちに貝がらを捨て、知られているヤシガニの生活スタイルを送るとされていました。
しかし、近年の研究ではその定説が覆されています。
国内で唯一、ヤシガニの生態研究をしている「独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所石垣支所」が、2008年12月、ヤシガニが陸上で産卵することを確認したのです。
ヤシガニの産卵については定説しかなかったのですが、世界で初めて産卵場所を特定し、その産卵行動の撮影に成功しました。
これによって従来の定説がくつがえり、ヤシガニが陸上で産卵することが明らかになって英国科学誌で論文が受理され公表されました。
このようにヤシガニにはまだ不明な点も多く謎に包まれていると言えます。
石垣島のヤシガニの大きさ
ヤシガニは陸上生活をする節足動物しては、地球上最大ともいわれており、体長は3~40cmほどにもなり、脚も含むと1mを超える個体もいます。
体重が4㎏ほどにもなるとも言われています。大きくなるのには毎回脱皮を行いながら成長します。
脱皮ごとに3~4mmほど大きくなると言われています。脱皮期は殻が柔らかく非常にデリケートで、共食いにあわぬよう、70cm~1mほどの穴を掘って穴の中で脱皮します。
そして1月ほど穴の中で体力を回復してから地上に出てきます。
脱皮する時には、穴をちゃんと塞ぎ、後から別のヤシガニが侵入してこないようにしています。
石垣島でヤシガニを探せるツアー
ジャングルナイトツアー
“ジャングルナイトツアー“では、ヤシガニを捜索することができます。
ヤシガニこそ、このジャングルナイトツアーの見どころの一つです。石垣島は国内では珍しい亜熱帯気候に属しているため、本土には生息しない珍しい生き物を観察することができます。
そんな代表格が”ヤシガニ“です。他にもオオコウモリやフクロウなど夜にしか見ることのできない生き物があります。
ヤシガニの生息地とハブの生息地・出没時間帯は、ほぼ同じで、ジメジメした深夜の海岸近くの樹林帯や岩場にはハブも居ることもありますが、ガイドの付いているツアーなら安心して探検ができます。
そんな変わった生き物を探しに、夜の石垣島のジャングルへと出かけます。
このツアー中はもちろん美しい星空を望むこともできますし、その上観光客の数ががくりと少なくなるため自由度の高いアクティビティとなります。
思う存分、星空の下ヤシガニ探しを楽しむことができます!
終わりに
石垣島のヤシガニについてご紹介いたしました。いかがだったでしょうか。
石垣島に生息しているヤシガニは現在も調査が行われている非常に謎の多い動物です。
絶滅危惧種にも指定されており、環境省のレッドリストでも絶滅危惧II類(VU)に指定されています。
なので出来ればヤシガニは食するのではなく、ツアーでジャングルを訪れ触れ合っていただければと思います。
もしヤシガニに興味を持っていただけ、ツアーで楽しんでいただけたら幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。